※本サイトのコンテンツには、商品プロモーションが含まれています。
星野リゾートの離職率がどのくらいなのか、公式に発表された数字を探している人は多いはずです。
結論から言うと、星野リゾートは自社の離職率を数値で公表していませんが、平均勤続年数や残業時間といった働き方の指標は採用情報として開示されています。
また、よく引用される離職率25.6%は星野リゾート単体ではなく、宿泊業・飲食サービス業全体の1年間の離職率で、3年以内の離職率とは別の統計です。
この記事では、公的統計と会社が公表している数字を並べて、星野リゾートの離職率をどこまで語れるのかを整理します。
記事のポイント
①:星野リゾートは自社の離職率を公表していない
②:25.6%は宿泊・飲食業の年間離職率の数字
③:公表値は平均勤続年数4年と残業25.9時間
④:大卒3年以内の業界離職率は55.4%で最多
星野リゾートの離職率は高い?公表データで確認
プレミアムホテルの世界線
ここでは、星野リゾートで働く人の区分ごとに、離職率について何が分かっていて何が分かっていないのかを切り分けていきます。
- マネジメント層の離職率と立候補制
- 新卒の離職率は業界平均と比べてどうか
- パートナー社員の離職率は正社員と違う?
- 公表された平均勤続年数は4年
- 仕事量が給料に見合わないと感じる理由
マネジメント層の離職率と立候補制
星野リゾートは、マネジメント層に限った離職率を数値で公表していません。
そのため「管理職は辞めにくい」といった話は、社外から検証できる根拠を持たない見方になります。
ただし、役職の決まり方については公式サイトで具体的に説明されています。
星野リゾートには総支配人やユニットディレクターに自分から手を挙げる立候補制度があり、2003年ごろから運用されています。
年2回開かれる立候補プレゼン大会では、立候補者が施設や組織の戦略を約25分のプレゼンと質疑応答で示します。
リクルートワークス研究所の取材によると、2024年は年2回で100名を超える社員が手を挙げ、そのうち約半数がキャリアチェンジの機会を得ています。
注目したいのは、ポストを離れることを降格ではなく充電期間や役割変更として扱うという考え方です。
役職を降りた人がそのまま会社を離れる、という流れになりにくい設計と言えますね。
あわせて、管理的地位にある女性の割合は189名中50名の26.5%、役員に占める女性の割合は12.5%と公表されています。
ホテル業界では、管理職になると業務が増える一方で処遇が見合わないと感じて離れる例が語られます。
ただ、星野リゾートでその傾向が強いことを示す公的な数字は見当たりません。
言えるのは、立候補という形で役割を取りに行ける代わりに、その責任を自分で引き受ける前提の組織だということです。
マネジメント層の離職を考えるうえでは、役職に就く入口と降りたあとの受け皿の作りが判断材料になります。
新卒の離職率は業界平均と比べてどうか
新卒の離職率についても、星野リゾートが自社の数値を公表している形跡は確認できません。
比較の土台になるのは、厚生労働省が公表している新規学卒就職者の離職状況です。
2025年11月に公表された令和4年3月卒業者のデータでは、大学卒の3年以内離職率は全体で33.8%、宿泊業・飲食サービス業では55.4%と、産業別で最も高くなっています。
高校卒は全体で37.9%なので、宿泊・飲食の新卒が置かれている状況は業種の中でも際立っていることが分かります。
つまり、星野リゾートを含む宿泊業界には、新卒の半数以上が3年以内に職場を離れる産業構造がまず前提としてあるわけです。
一方で星野リゾートの新卒採用は規模が大きく、公表されている採用実績は下記のとおりです。
| 採用年 | 採用者数 | 男女の内訳 |
|---|---|---|
| 2023年 | 282名 | 男性93名/女性189名 |
| 2024年 | 646名 | 男性198名/女性448名 |
| 2025年 | 499名 | 男性175名/女性324名 |
採用数が年によって2倍以上動くため、単年の入退社だけを取り出して定着の良し悪しを判断するのは難しいところです。
新卒で入ると、フロントや客室清掃、調理、レストランサービスまでを一貫して担うマルチタスクの働き方が基本になります。
ここを幅広く経験できると受け取るか、思っていた仕事と違うと受け取るかで、3年目までの残り方はかなり変わってきます。
選考の段階でどこまで具体的に働き方を確かめられるかは、新卒採用の選考と就職難易度を扱った記事のほうで詳しく整理しています。
離職率の話に戻すと、業界の55.4%という数字は星野リゾートの新卒が半数以上辞めるという意味ではありません。
あくまで宿泊業・飲食サービス業全体の平均であり、企業ごとの差はこの統計からは読み取れないためです。
この違いを押さえておくと、口コミで見かける離職の話も落ち着いて読めるようになりますよ。
パートナー社員の離職率は正社員と違う?
星野リゾートは、パートやアルバイトとして働く人をパートナー社員と呼び、新卒採用・キャリア採用とは別の入口として公式サイトで募集しています。
募集は施設ごとに行われるため、職種や条件は勤務地によって変わります。
このパートナー社員についても、会社が離職率を公表しているわけではありません。
ただ、雇用形態による差そのものは公的統計ではっきり出ています。
令和6年の雇用動向調査によると、宿泊業・飲食サービス業の離職率は一般労働者が18.1%、パートタイム労働者が29.9%と、10ポイント以上の開きがあります。
全産業計の離職率は14.2%なので、パートタイムの29.9%は倍以上の水準ということになります。
背景には、繁忙期に合わせた短期の募集が多く、契約期間の満了がそのまま離職として数えられやすいという業界の事情があります。
観光地に立地する施設が多い星野リゾートでも、季節によって必要な人数が変わる点は同じです。
正社員を目指す場合、パートナー社員からの登用制度が公表されているわけではありません。
公式サイトで案内されているのは、キャリア採用への応募という形で正社員の枠に挑む道です。
そのため、まずアルバイトで入って様子を見るという選び方は、正社員になる近道としては説明されていません。
逆に言えば、生活に合わせて働く前提であれば、施設単位で条件を選べるのはパートナー社員の利点になります。
離職率という言葉でひとくくりにせず、正社員とパートナー社員では数字の意味が違うと押さえておくのが実務的ですね。
求人票を見るときは、雇用形態と契約期間をセットで確かめておくと後の判断がぶれません。
公表された平均勤続年数は4年
星野リゾート・マネジメントが採用情報として公表している平均勤続年数は、2025年度の実績で4年です。
ネット上で見かける5年前後という説明よりは短く、宿泊業界の中でも長いとは言えない水準になります。
下記の表は、会社が公表している働き方の指標をまとめたものです。
| 公表項目 | 数値 | 対象年度・時点 |
|---|---|---|
| 平均勤続年数 | 4年 | 2025年度 |
| 月平均所定外労働時間 | 25.9時間 | 2025年度 |
| 平均有給休暇取得日数 | 10.3日 | 2025年度 |
| 育児休業取得率 | 男性57.7%/女性66.3% | 2025年度 |
| 管理的地位にある女性の割合 | 26.5%(189名中50名) | 2025年度 |
| 従業員数 | 7,050名(うちグループ正社員4,499名) | 2026年3月 |
平均勤続年数だけを見ると短く感じますが、新卒採用を年に数百名の単位で続けている会社では、入社間もない社員の比率が上がって平均が下がりやすいという事情があります。
直近3年で1,400名を超える新卒を採用しているので、この影響は小さくありません。
つまり、勤続年数4年という数字が、そのまま4年で辞める会社を意味するわけではないということです。
一方で育児休業の取得率は男性57.7%、女性66.3%と公表されており、女性の数値が100%に届いていない点は気になるところかもしれません。
管理的地位にある女性の割合は26.5%で、宿泊業の管理職としては高めの水準です。
勤続年数を判断材料にするなら、平均値そのものより、こうした周辺の数字と合わせて見るほうが実態に近づきます。
仕事量が給料に見合わないと感じる理由
仕事量に給料が追いつかないという受け取り方が生まれる理由は、星野リゾートの働き方の作りを見ると整理できます。
最大の要因は、フロント、客室清掃、調理、レストランサービス、アクティビティ開発までを一人が担うマルチタスク型の運営です。
担当する業務の種類が増えるぶん、同じ勤務時間でも体感の負荷は大きくなります。
一方で給与は職種ごとに細かく分かれているわけではないため、業務の幅と月給が比例していないように感じられやすい構造になっています。
下記の表は、公式の募集要項に記載されている2026年入社の初任給です。
| 学歴区分 | 初任給(月給) | 補足 |
|---|---|---|
| 大学卒 | 240,800円以上 | 賞与年2回・昇給年1回 |
| 短大・専門学校卒 | 204,400円以上 | 賞与年2回・昇給年1回 |
| 高校卒 | 187,000円以上 | 賞与年2回・昇給年1回 |
金額だけを見れば、宿泊業の初任給として極端に低い水準ではありません。
ただ、評価は誰かから一方的に下されるものではなく、スタッフが自己評価をしたうえで総支配人と合意点や相違点を確認する半年ごとのプロセスだと公式に説明されています。
この仕組みは納得感を高める一方で、自分の成果を言葉にできないと評価が伸びにくい面もあります。
頑張っているのに上がらないと感じる人と、筋道を立てて説明したら通ったという人に分かれやすいわけですね。
もう一つ押さえておきたいのが、月平均所定外労働時間が25.9時間と公表されている点です。
繁忙期に偏るとはいえ、平均で見れば月25時間台であり、給与に対して極端に長い労働時間とまでは言えません。
結局のところ、給与への不満は絶対額よりも、担当業務の幅と評価のされ方に起因している部分が大きいと考えられます。
ここが噛み合わないまま数年を過ごすと、離職の動機として積み上がっていきます。
逆に、業務の幅をスキルの蓄積と捉えられる人には、同じ環境が有利に働きます。
入社前に確かめておきたいのは、金額よりも、どの業務をどれくらいの割合で担うのかという配属後の中身です。
星野リゾートの離職率の要因|業界データと比較
プレミアムホテルの世界線
ここからは、離職の理由として語られやすい論点を一つずつ公的データと突き合わせ、業界全体の水準と比べていきます。
- 残業は多い?月25.9時間の公表値
- 勤続年数が増えると業務量は倍増する?
- 業務内容のミスマッチが離職率に与える影響
- 離職率が最も高い業界はどこか
- 25.6%は何の数字か|厚労省の定義
- 他のホテル業界と比べた離職率の特徴
- 離職率から見る働き続けやすさ
残業は多い?月25.9時間の公表値
残業について、星野リゾートは月平均所定外労働時間を25.9時間と公表しています。
これは1日あたりに直すと1時間強で、ホテル業界の中で突出して長い水準ではありません。
ただし平均値なので、繁忙期の施設や特定の職種では、この数字より大きく振れることは十分あり得ます。
むしろ働き方の差がはっきり出るのは、休日の制度のほうです。
下記の表は、公式の募集要項に書かれているブランド別の勤務制度をまとめたものです。
| 区分 | 休日制度 | 年間休日 | 労働時間の扱い |
|---|---|---|---|
| 界ブランド | 週休3日制 | 154日以上 | 月単位の変形労働時間制 |
| 界ブランド以外 | 週休2日制 | 115日 | 1日実働8時間 |
同じ会社の中で年間休日が115日と154日以上に分かれるのは、宿泊業界でもかなり珍しい設計です。
界ブランドは月単位の変形労働時間制を採っており、1日の実働が長くなる日がある代わりに休日が増える形になります。
この違いを知らずに応募すると、配属後に聞いていた働き方と違うと感じる原因になります。
有給休暇の平均取得日数は10.3日と公表されており、付与日数を考えると取り切れているとは言いにくい水準です。
残業時間そのものより、休日の取り方と有給の消化しやすさが、続けられるかどうかを左右していると見るのが実態に近いでしょう。
応募の段階では、志望する施設が界ブランドかどうかを確かめておくと判断がぶれません。
勤続年数が増えると業務量は倍増する?
結論から言うと、勤続年数に比例して業務量が倍になるという説明を裏づける公表データはありません。
星野リゾートで年数とともに変わるのは、量よりも役割の選び方だと考えたほうが実態に合っています。
公式サイトで案内されているキャリアの仕組みを見ると、その理由が見えてきます。
年1回の異動エントリーがあり、新規施設の開業時には公募も行われます。
オープンキャリアという制度では、本社を置かない方針のもとで施設開発や財務、人事といった間接部門の職務情報が常に開示され、希望者が選考に参加できます。
つまり、現場の業務を積み増していく道だけでなく、担当そのものを移す道が用意されているわけです。
学びの面では、20年以上続く社内ビジネススクールの麓村塾がオンラインで提供されています。
入社時にはCampという研修があり、答えのない問いにチームで取り組む過程を通じて主体性を養う位置づけだと説明されています。
サービス品質については、各施設のリーダーが月1回集まって事例を共有するS-proという手法が使われています。
こうして見ると、年数を重ねた社員には仕事が増えるのではなく、選択肢が増える設計になっているのが分かります。
もちろん、立候補してマネジメントを担えば責任の範囲は広がります。
ただそれは自分で取りに行った結果であり、勤続年数だけを理由に負荷が積み上がる仕組みではありません。
負担感が強まるとすれば、異動や公募に手を挙げないまま同じ施設に留まり、後輩の育成だけが増えていく場合でしょうね。
業務内容のミスマッチが離職率に与える影響
離職の理由として最も説明力があるのは、業務内容と本人の期待がずれるミスマッチです。
星野リゾートの場合、そのずれが生まれる場所ははっきりしています。
公式に説明されている働き方が、フロントから客室清掃、調理、レストランサービス、アクティビティ開発までを一貫して担うマルチタスクだからです。
接客だけを想像して入社すると、清掃や配膳の比重に驚くことになります。
逆に、宿全体の運営を体で覚えたい人にとっては、これ以上ない環境になります。
配属についても、公式サイトでは中期的なキャリア形成の視点から選考や面談を通じて話し合いのうえ決定すると案内されています。
異動も総支配人や人事担当者との面談を通して決まり、異動の有無や頻度は人によって異なると明記されています。
全国47都道府県と海外に施設があるため、勤務地が生活設計に直結する点も見逃せません。
ここが噛み合わないと、仕事の中身に不満がなくても離職につながることがあります。
現場で何がどうきついと言われているのかは、仕事がきついと言われる現場の中身を扱った記事のほうで具体的に触れています。
離職率の観点で押さえておきたいのは、ミスマッチの大きさが入社前に読み込んだ情報の量で決まるという点です。
マルチタスクも配属の考え方も公式サイトに書かれているので、事前に確かめれば防げるずれは少なくありません。
逆に、パンフレットのイメージだけで決めてしまうと、3年以内に離れる側に回りやすくなります。
ここは応募前にいちばん時間を使う価値があるところだと思いますよ。
離職率が最も高い業界はどこか
離職率が最も高い業界を尋ねられたとき、答えはどの統計を見るかで変わります。
新卒に限った統計と、在職者全体を対象にした統計は別物だからです。
まず新卒については、厚生労働省が新規学卒就職者の離職状況を毎年公表しています。
下記の表は、2025年11月に公表された令和4年3月卒業者の3年以内離職率をまとめたものです。
| 区分 | 3年以内離職率 | 前年からの動き |
|---|---|---|
| 大学卒(全産業) | 33.8% | 1.1ポイント低下 |
| 大学卒(宿泊業・飲食サービス業) | 55.4% | 産業別で最も高い |
| 高校卒(全産業) | 37.9% | 0.5ポイント低下 |
大学卒の3年以内離職率は、産業別で宿泊業・飲食サービス業が最も高い55.4%という結果になっています。
大卒全体が33.8%なので、宿泊・飲食はそこから20ポイント以上も上に離れている計算です。
この55.4%という数字が、ネット上でホテルは半分辞めると語られるときの元データになっています。
ただし、これは産業全体の平均であって、特定の企業の数字ではありません。
在職者全体で見る雇用動向調査でも、宿泊業・飲食サービス業は上位に並びます。
直近の調査では、全産業計の離職率が14.2%だったのに対し、宿泊業・飲食サービス業はパートタイム労働者で29.9%でした。
どちらの統計で見ても、この業界が離職の多い側に位置していることは変わりません。
背景として挙げられるのは、シフト制で土日祝に休みにくいこと、繁忙期と閑散期の差が大きいこと、未経験からでも入職しやすいことです。
入りやすい業界は出やすい業界でもあるという構造が、そのまま数字に表れているわけですね。
星野リゾートの離職率を考えるときも、まずこの産業の水準を基準線に置くのが出発点になります。
25.6%は何の数字か|厚労省の定義
ネット上でよく引用される離職率25.6%には、はっきりした出どころがあります。
これは厚生労働省の雇用動向調査で、令和3年に宿泊業・飲食サービス業の1年間の離職率が25.6%となり、産業別で最も高かったときの数値です。
同じ年で2番目に高かったのは、生活関連サービス業・娯楽業の22.3%でした。
ここで注意したいのは、25.6%は3年以内に辞めた人の割合ではなく、1年間で職場を離れた人の割合だという点です。
3年以内離職率は新規学卒就職者を追いかける別の統計で、こちらは大学卒の宿泊・飲食で55.4%になります。
この2つを混ぜて3年以内で25.6%と説明している情報を見かけますが、統計の定義そのものが違います。
下記の表は、混同しやすい3つの数字を並べて整理したものです。
| 統計の名称 | 対象と期間 | 宿泊業・飲食サービス業の数値 |
|---|---|---|
| 雇用動向調査(令和3年) | 在職者全体・1年間 | 25.6% |
| 雇用動向調査(令和6年) | 在職者全体・1年間 | 一般18.1%/パートタイム29.9% |
| 新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒) | 新卒・3年以内 | 大学卒55.4% |
雇用動向調査の数字は毎年更新されるため、25.6%は令和3年の値として扱うのが正確です。
直近の令和6年の雇用動向調査では、全産業計の離職率が14.2%、入職率が14.8%と公表されています。
宿泊業・飲食サービス業は一般労働者が18.1%、パートタイム労働者が29.9%で、雇用形態によって水準が大きく異なります。
そして、これらの統計はいずれも産業単位の集計であり、星野リゾート1社の離職率を示すものではありません。
会社名と業界平均が同じ文脈で語られるうちに、あたかも自社の数字であるかのように受け取られてきたのが実情です。
数字を引用するときは、対象が産業か企業か、期間が1年間か3年以内かを確かめておくと間違えません。
他のホテル業界と比べた離職率の特徴
星野リゾートと他社の離職率を並べて比べられる公表データは、残念ながら存在しません。
ホテル各社が離職率を開示していないため、比べられるのは制度や働き方の設計になります。
その観点で見ると、星野リゾートの特徴は職種を分けずに一人が複数の業務を担うマルチタスク型の運営にあります。
外資系やシティホテルでは、フロント、ハウスキーピング、料飲が部門として分かれているのが一般的です。
分業型では専門性が積み上がりやすい一方、部門を移らない限り仕事の幅は広がりません。
マルチタスク型はその逆で、幅は広がるものの、特定分野の専門職としてのキャリアは描きにくくなります。
この違いは、辞める理由の中身にも表れます。
分業型では配属部門から動けないことが不満になりやすく、マルチタスク型では何でも屋になってしまうという感覚が不満になりやすい、という具合です。
もう一つの違いが、勤務地の広さになります。
星野リゾートは全国47都道府県と海外に施設を展開しており、異動の可能性は都市部中心のチェーンより大きくなります。
一方で、界ブランドの週休3日制と年間休日154日以上という条件は、宿泊業界の中ではかなり手厚い部類です。
立候補制度で若いうちからマネジメントに挑戦できる点も、年功で役職が決まる会社との差になります。
まとめると、定着を後押しする制度と、離職を招きやすい働き方の両方を強く持っているのが星野リゾートの形です。
他社より離職率が高い低いという話ではなく、合う人と合わない人がはっきり分かれる会社だと捉えるほうが正確でしょう。
離職率から見る働き続けやすさ
ここまで見てきた数字を、働き続けられるかどうかという視点で並べ直しておきます。
公表値のうち続けやすさを支えているのは、月平均所定外労働25.9時間と、界ブランドの年間休日154日以上という条件です。
逆に、平均勤続年数4年と有給取得10.3日は、長く働くうえでの課題として読める数字になります。
制度の面では、年1回の異動エントリーとオープンキャリアが、環境を変える手段として用意されています。
辞める以外に、勤務地や担当業務を変えるという選択肢が社内にあるのは、離職率を考えるうえで見落とせない点です。
実際、立候補制度でポストを外れても降格として扱わない運用があるため、役割を変えながら残る道筋は整っています。
そのうえで、辞めるかどうかを実際に判断する段になったら、退職金や社内制度の確認が先になります。
この手順については、辞めたいと感じたときの進め方を扱った記事のほうで整理しています。
離職率という数字だけを見て、残るか離れるかを決めても答えは出ません。
自分の不満が制度で解決できる種類のものか、そうでないのかを切り分けるほうが実務的です。
公表されていない数字を探し続けるより、開示されている条件を突き合わせるほうが確実ですよ。
その判断材料として、この記事で挙げた公表値を使ってもらえればと思います。
もう一つ、離職率を見るときに間違えやすいのが、辞めた人の数だけで職場の善し悪しを測ってしまうことです。
宿泊業は未経験からでも入りやすく、そのぶん出入りが多くなる産業なので、率の高さがそのまま職場環境の悪さを意味するとは限りません。
星野リゾートのように新卒を年に数百名の単位で採る会社なら、母数の増減だけでも率は動きます。
だからこそ、公表されている勤続年数や休日、残業といった個別の条件を突き合わせるほうが、判断の精度は上がります。
総括:星野リゾートの離職率の実態と要因
- 星野リゾートは自社の離職率を数値で公表していない
- よく引用される25.6%は宿泊・飲食業の年間離職率
- 25.6%は令和3年の雇用動向調査で産業別最高の値
- 3年以内離職率とは統計の定義がまったく異なる
- 大卒3年以内の業界離職率は55.4%で産業別最高
- 大卒全産業は33.8%、高卒全産業は37.9%
- 令和6年の宿泊・飲食は一般18.1%、パート29.9%
- 会社の公表値は平均勤続年数4年(2025年度)
- 月平均所定外労働は25.9時間、有給取得10.3日
- 新卒採用は2024年646名など年ごとの変動が大きい
- 初任給は大学卒で240,800円以上と案内
- 界ブランドは週休3日制で年間休日154日以上
- 界以外は週休2日制で年間休日115日と差がある
- 総支配人は立候補制で2024年は100名超が応募
- ポストを外れても降格扱いにしない運用がある
- 離職の主因はマルチタスクと期待とのミスマッチ

